[解説]半導体製造装置に係る規制強化について

日本政府は、2023年7月23日付で「半導体製造装置23品目」を新たに輸出貿易管理(外為法に基づく省令)に追加しました。この施行は、国際的な安全保障環境の激変を背景に、先端技術の軍事転用防止を目的とした措置であり、特に米国が進める対中輸出規制との連携の一環です。以下、その背景と対象品目について解説します。

背景:なぜ規制が強化されたのか

  1. 軍事転用リスクと国際安全保障

高性能な半導体製造装置は、軍事用途や高度なAI/スーパーコンピューティングなどに応用可能であり、その拡散は国際的な安全保障を脅かすリスクとなります。そのため、日本政府は、ワッセナー・アレンジメント等での対応だけでは不十分と判断し、全地域に対して新たなリスト規制を導入しました 。

  1. 米国など先進国との足並み

米国は2022年10月に半導体製造装置を含む先端技術の中国向け輸出を制限しており、日本政府はその要請に応じ、自国の政策としても同様の「事実上の中国向け輸出規制」を整備した形です 。

対象品目:「半導体製造装置23品目」の概要

2023年7月23日の省令改正により、下記プロセスカテゴリに該当する半導体製造装置の23品目が輸出管理の対象に追加されました。

1)洗浄(Cleaning):3品目
2)成膜(Deposition):11品目
3)熱処理/アニーリング(Annealing):1品目
4)リソグラフィ(露光/Lithography):4品目
5)エッチング(Etching):3品目
6)検査(Inspection):1品目
さらに、これら装置の設計・製造に必要な技術・プログラムも管理対象に含まれています。